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民事事件と刑事事件|手続の特徴・流れや事件の種類について

民事事件とは私人同士、市民同士で起こる争いごとのことです。お金の貸し借りで困ったときの処理手続、慰謝料を請求するときの手続などは民事事件に該当します。一方、刑事事件は国が罪を犯した人を罪に問うときの手続をいいます。

 

民事事件と刑事事件は性質が大きく異なりますので、トラブルの当事者が取るべき対策も変わってきます。ここで両事件の基本的な特徴を比較し、それぞれ該当する具体的なトラブル例を紹介していきます。

民事事件とは

民事事件は私人同士の法的紛争のことです。市民と市民、あるいは対団体、対企業との間で起こる紛争も民事事件に含まれます。

 

法的紛争の多くはこの民事事件にあたり、基本的には警察が介入することなく当事者間で話し合って解決を目指すことになっています。そのため「〇〇罪」などの犯罪の問題とは異なり刑罰を科す・科さない、の話題については取り扱いません。

 

なお、当人同士の紛争解決が強いられるわけではなく、弁護士に依頼することは可能です。

 

例えば私人同士のいざこざで一方に損害が発生してしまったとき、「あなたには損害賠償をする義務がある」「〇〇円を損害賠償金として支払え」といった主張をするときは民事事件の問題です。必ずしも自分で行う必要はなく、むしろ弁護士に任せることで有利に話を進めやすくなります。

民事事件の流れ

民事事件については基本的に当事者間の話し合いから始まります。特定の手続を利用しないといけないといったことはなく、大きな損害が発生したとしても、双方が納得できたのであれば口頭でのやり取りでも終結させられます。

 

こうして当事者間で和解を目指すやり取りは「示談」とも呼ばれます。示談からその後の手続については次のような流れで進行することが多いです。

 

  1. 示談
    当事者間で和解を目指す方法。
  2. 調停
    当事者間の話し合いを、停委員を含めて裁判所で行う方法。公的手続の中では比較的簡単で、円満な解決を目指しやすい。また費用が低額で公開の場で話し合いをする必要がなく、秘密を守ることができる。
  3. 民事裁判
    訴えの提起から始まり、口頭弁論、争点・証拠の整理、証拠調べを経て裁判官が最終的な判決を下す手続。

 

最終的には民事裁判による判決で決着をつけることになりますが、そこに至るまでのどのタイミングであっても和解をすることは可能です。民事事件は私人間のトラブルであるため、双方が納得できるのであればそれ以上無理に裁判所が結論を強いる必要はないのです。

民事事件となるトラブル例

財産に関する紛争が民事事件の大半を占めています。貸したお金、物を返してほしいといった個人間の紛争。売掛代金についての企業間での紛争などが代表的です。

 

ほかにも次のような事件類型も民事事件に含まれます。

 

労働事件

雇用に基づくトラブル。賃金の不払い、解雇の有効性などを争点とし、労働者と使用者である会社が当事者となる事件。

知的財産権事件

著作権や特許権といった知的財産権についての争いを解決する手続に関する事件。

破産事件

債務の返済が困難になった場合の、債務者の財産を清算するための手続に関する事件。

保護命令事件

DVなどから保護するための手続に関する事件。被害者が申し立てを行い、裁判所が加害者に対してつきまとい等をしないよう命令する。

民事執行事件

裁判所が債務者の財産を差し押えて換価し、債権者に分配するなどして債権回収をさせる手続に関する事件。

刑事事件とは

刑事事件は犯罪行為に関する処理手続のことです。ある人物が犯罪行為を行ったかどうか、刑罰を科すべきかどうか、どの程度の刑罰を科すべきかどうか、について判断を行います。

 

犯罪行為によって被害者が出てくることもありますが、刑事事件における当事者は国と犯罪行為を行った私人です。被害者が直接捜査をする必要はありませんし、被害者が刑事罰を求めて起訴をするわけでもありません。

刑事事件の流れ

刑事事件で最終的に有罪が確定すると、罰金刑によって財産が徴収されたり、懲役刑によって身体の自由が奪われたりします。もっとも重い刑が科されると命を奪われることにもなります。私人に対して重大な影響を与えることになりますので、その分刑事事件は厳格なルールに基づいて手続が進行していくこととなります。

 

逮捕をするだけにも様々な要件をクリアしないといけません。ニュースなどでは毎日のように逮捕に関する報道がなされていますが、実際には逮捕の必要性がなければ逮捕は行われませんし、行うべきではないと考えられています。そこで証拠隠滅や逃走などのおそれがないときは、逮捕をされないまま捜査が進められるケースも多いです。

 

捜査を経て、検察官が「刑罰を科すのが相当」と評価したとき、起訴の判断を下します。不起訴となればここで基本的には手続終了です。一方で起訴をされたときは刑事裁判始まります。

 

捜査で集められた証拠を裁判所に提示し、双方の主張・立証を判断材料に裁判官が審理を行うのです。有罪になれば刑罰が科されます。

刑事事件となるトラブル例

刑事事件になるトラブルは、民事事件に比べると限定的です。刑法やその他の法令で刑罰が定められている問題についてのみ刑事事件として取り扱い、現行法において罪として定められていない行為については原則として刑事罰は科されません。

 

刑事事件の分類方法はいくつかあり、例えば刑法に抵触した「刑法犯」とその他の法令に抵触した「特別法犯」に分けることが可能です。さらに刑法犯は次のように6つに分けることもあります。

 

➀ 凶悪犯(殺人、強盗、放火など)

② 粗暴犯(暴行、傷害、脅迫など)

③ 窃盗犯

④ 知能犯(詐欺、横領、汚職など)

⑤ 風俗犯(賭博、わいせつなど)

⑥ その他

 

このうちもっとも発生件数が多いのは窃盗犯です。毎年法務省から犯罪白書という形で犯罪の発生状況が公表されているのですが、令和5年に公表されたデータでも刑法犯の中で窃盗が圧倒的多数を占めていることがわかっています。

 

犯罪の種類

認知件数

総数に対する認知件数の割合

(総数)

601,331

窃盗

407,911

67.8

器物損壊

54,750

9.1

詐欺

37,928

6.3

暴行

27,849

4.6

傷害

19,514

3.2

横領

13,767

2.3

出典:法務省「令和5年版 犯罪白書」

 なお、特別法犯については道路交通法違反がもっとも多く、「過失運転致死傷等」の罪についての認知件数は「283,147件」と窃盗に次いで多く発生していることがわかっています。窃盗とは異なり過失(ミスのこと)が原因となる事件ですので、車や自転車を使っている方なら誰でも刑事事件を引き起こすリスクがあるということです。

 

刑事事件においても民事事件同様弁護士に対応を依頼することが可能です。トラブルを起こしてしまったとき、何らかの被害に遭ったときは早めに弁護士に相談することをおすすめします。

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Lawyer弁護士紹介

河野 哲(こおの さとる)

福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)

官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。

経歴

  • 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
  • リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
  • 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。

Office事務所概要

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