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相続税対策で今から何ができる?節税に効果的な取り組みとは

相続税対策の基本は「財産を減らすこと」と「財産の評価額を下げること」です。この観点から、次の3つの取り組みが節税に有効といえます。

 

  1. 生前贈与
  2. 生命保険の利用
  3. 不動産の活用

 

細かく見ていけばほかにも効果的な取り組みはありますが、まずはこの大枠を知っておくと良いでしょう。

ポイント①生前贈与で財産を減らしておく

生前贈与とは相続が始まる前、つまり亡くなる前に先に財産を渡しておくことをいいます。贈与契約に基づく行為であり、遺言書のように、相続人以外を受贈者とすることも可能です。受贈者が誰であれ、相続開始後の財産が少なくなりますのでその分相続税の課税対象も少なくなります。

 

とはいえ贈与に対しては相続税ではなく贈与税が課税されますので、「贈与税の負担を軽減しつつどうやって生前贈与すべきか」ということを考えていかなくてはなりません。

 

贈与税を回避・軽減する具体的な手法としては、次の2点を挙げることができます。

 

  • 基礎控除額(年間 110万円)を有効活用した贈与
  • 贈与税の特例を使った一括贈与

110万円以内で贈与を繰り返す

贈与税課税の仕組みとして、年間 110万円までの基礎控除が使えるようになっています。つまり、「受贈者が1年間で受けた贈与財産の価額が合計で 110万円以内であれば非課税で財産をもらい受けることが可能」ということです。

 

そこで、 110万円以内の贈与を複数回実行すれば、相続開始までに相当な額の財産を税負担なく贈与することができるのです。

 

ただし、「相続開始前7年以内※にした贈与については相続税の計算に含める」という生前贈与加算のルールがあることにはご注意ください。相続直前に急いで贈与をしても結局相続財産と同じように扱われることがあります。

2024年以降の贈与に適用。 2023年以前の贈与については「相続開始前 3年以内」が生前贈与加算の適用対象。

特例を使った一括贈与

基礎控除の範囲内だと、1年あたりの節税効果が小さく、大きな効果を得るには長期的に取り組んでいかなくてはなりません。

 

そこで贈与税において設けられている特例の利用もご検討ください。

 

親から子、あるいは祖父母から孫など一定の血縁関係にある当事者間であって、特定の目的のためにする贈与であれば、 1,000万円や 1,500万円といった大きな額を非課税で贈与することもできます。ただし所定の手続きを行うことや細かく指定された要件を満たさなければなりません。

 

例えば次のような特例があります。

 

・教育資金の一括贈与の特例

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm

・結婚や子育て資金一括贈与の特例

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4511.htm

ポイント②生命保険に入っておく

生命保険の活用は、節税対策および納税資金対策の両方に有効です。

 

生命保険金は相続財産とは異なり遺産分割の対象にはなりません。契約時に定めた受取人が取得するものです。しかしながら税制上はこれを相続財産とみなし、相続税の課税を受けてしまいます。
ただ、「法定相続人の数× 500万円」の算式から出される金額までは非課税とされています。

 

保険料として納めた分は相続財産を減らすことができますし、その後受け取れる保険金は一定限度で税負担がかかりません。また、金銭として受け取るためそのまま納税資金として使うこともできます。

 

このように、生命保険は相続税対策として便利な仕組みですが、保険金がみなし相続財産となるには被相続人が保険料負担者兼被保険者となる必要があります。

ポイント③不動産を活用する

財産の種別を変えることで相続税評価額を下げ、節税効果を得ることも可能です。

 

その代表的な方法として「不動産の活用」が挙げられます。

 

例えば多くの現金や預貯金が残っているのなら不動産の購入も考えてみましょう。現金から建物へと財産の種別が変わるだけで、購入直後から相続税評価額は購入価格より小さくなります。

 

さらにその建物を賃貸物件として運用すればより相続税評価額は下がり、より節税効果を高められます。当該建物を借主が使うこととなり、所有者が使える割合が小さくなるためです。

 

すでに持っている土地についても、相続開始までに「小規模宅地等の特例」の要件を満たせるようにしておけば節税効果が得られます。この特例は、宅地や事業用に使っている土地について、相続税評価額を最大 80%減額できる仕組みになっています。
土地を持っているのならぜひ適用を受けたいところですが、相続人がその恩恵を受けるには一緒にその土地を使っているなど、所定の要件を満たさなくてはなりません。

その他の知っておきたいこと

上記の代表的な取り組み以外にもいくつか知っておきたいポイントがありますので、最後に簡単にご紹介いたします。

 

養子縁組で基礎控除額を増やす

相続税の基礎控除額は、法定相続人の数が多いほど増額されていく。養子も実子と同じく法定相続人になれるため、養子縁組をしておくことで基礎控除額を1人あたり 600万円増やせる。

※基礎控除額の計算において含めることができる養子は最大でも2人。実子がいるときは1人。

孫を養子にして課税機会を減らす

親から子へと承継されていくのが基本的な相続の流れであるが、1つ世代を飛ばして孫に相続してもらうことで、相続1回分の課税をなくすことができる。

※孫など、被相続人からの血縁関係が離れた人物に相続税がかかるときは、配偶者や子などにかかる相続税の2割増しになることには注意が必要。

二次相続にも配慮した遺産分割

相続開始後にできる相続税対策(遺言書の作成により事前にある程度対策を打つことも可能)。

配偶者には配偶者控除があり相続税の負担がかからないケースが多いが、配偶者が遺産を取得し過ぎると配偶者を被相続人とする次の二次相続で税負担が大きくなってしまう。そこで次の相続まで意識して、配偶者やその他の相続人らで遺産の分配を調整していくことが大事。

専門家からアドバイスを受ける

各種対策を適切に講ずるには専門家によるサポートが欠かせない。誤った方法で取り組んでしまうと節税効果が得られず、想定外の税負担が発生するおそれもある。

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Lawyer弁護士紹介

河野 哲(こおの さとる)

福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)

官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。

経歴

  • 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
  • リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
  • 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。

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