相続財産の調査方法と費用について
相続財産の調査は、相続手続きを進める上で必要不可欠といえます。例えば、相続放棄や限定承認をするか否かの決定、遺産分割協議、相続税の申告をするためには、何が相続財産として存在しているのかが確定していなければなりません。
もっとも、相続財産の調査は簡単ではなく、専門家に依頼する場合は費用もかかります。
以下では、相続財産の調査方法及び費用について説明していきます。
■相続財産の調査方法
遺言の確認をした後に、相続財産の調査を行います。
相続財産とは、被相続人が生前に有していた権利・義務の全てのことを指します。
よって、相続財産の調査とは、相続財産として何がどこにあるのかを調査することをいいます。
主な相続財産として、①不動産、②預貯金、③株や投資信託等の証券、④借金等が挙げられます。
まず、不動産については、家にある権利証や固定資産税の課税明細書、市町村役場の窓口で取得できる名寄帳などから、被相続人がどこにどのような不動産を所有しているか調査します。
預貯金や証券については、まず、通帳やキャッシュカード、銀行や証券会社からの郵便物などから預貯金や証券を預けている金融機関を調査します。
銀行では、その銀行の全ての支店に、被相続人の口座があるか否かを一度で調査してもらえる、全店照会というものがあるので、それを利用しましょう。また、近年ではネット上の銀行口座を利用している場合もあり、キャッシュカードや通帳がない場合もあるため、被相続人のメール等を調査することも重要です。
そして、相続財産には、借金等も含まれます。金融機関からの借金等の有無を調べるためには、借入先の金融機関が加盟する信用情報機関に、信用情報の照会を行う必要があります。
信用情報機関としては、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、全国銀行個人信用情報センター(KSC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、の3つがあります。借入れがある場合は、借入先の金融機関が加盟する信用情報機関の信用情報に登録されるため、信用情報の照会により、借金があるか否かを調査することができます。もっとも、金融機関が複数の信用情報機関に加盟している場合は複数の信用情報機関に登録されますが、1つしか加盟していないこともあるので、3つすべてに開示請求を行った方がよいでしょう。
もっとも、預貯金の調査は特に難しいものとなっています。なぜなら、預貯金の調査は、残高の確認のみでなく、取引履歴も調査しなければいけないことにくわえ、被相続人の同居人が預貯金を使い込んでしまっているケースがあり、その使い込みが適正な支出か否かを判断する必要があるからです。
よって、相続財産の調査については、弁護士などの専門家に依頼する方が多いです。
■相続財産の調査の費用
相続財産の調査単体で依頼した場合の費用は、20万~30万円くらいが相場です。
弁護士に依頼した場合は、弁護士会を通じて、金融機関や行政機関等に対して情報開示を求める弁護士会照会をすることが可能なので、より詳細な調査が可能となります。
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福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)
官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。
経歴
- 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
- リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
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