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遺言書があっても紛争になる?作成するときに気を付けるべきこと

「遺言書を作成しておけば相続対策は万全」、そう考える方も多いのではないでしょうか。しかし実際のところ、遺言書があっても紛争に発展するケースは少なくありません。法的に無効になってしまった場合はもちろん、有効な遺言書であってもトラブルの元となることがありますので、遺言書の作成方法や遺言内容の検討については慎重に進めていくことが大切です。

遺言書があっても紛争になるケース

遺言書は相続トラブルを防ぐ有効な手段といえますが、遺言書の存在が新たな火種となる可能性もゼロではありません。特に次のケースではそのリスクが高くなってしまいます。

 

  • 遺言書としての形式的不備がある
  • 遺留分に配慮されていない
  • 相続人の心情に配慮されていない
  • 財産や割合の記載があいまい

 

各ケースについて詳細を見ていきましょう。

遺言書としての形式的不備がある

遺言書の作成方法は法律で決められています。

 

たとえば自筆証書遺言を作成するには、全文・日付・氏名を自書し、押印することが法定されているのです。そのため、所定の作成方法を満たしていなければ遺言書全体が無効となってしまいます。

 

さらに、「法改正でルールは変わることがある」という点にも留意しておきましょう。

遺留分に配慮されていない

相続には遺留分(=一定の相続人に認められる最低限の相続分)というものがあります。具体的には遺産全体の1/21/3が遺留分として確保されていますので、もし相続人以外の第三者に全財産を渡そうとしても、その通りに実行できるとは限りません。

 

厳密には指定した財産を渡すことはできるのですが、遺留分権利者から請求を受けると渡した財産の価値に対応して金銭の支払い義務が生じることがあります。この金銭のやり取りをめぐって紛争が起こることがあるのです。

 

そのため遺言書作成時には遺留分についても理解の上、内容を考えていくことが望ましいです。

相続人の心情に配慮されていない

法的に有効で、遺留分の侵害がない場合でも、相続人に対する配慮が欠けているとやはり親族間や第三者との間で揉める可能性があります。

 

特に揉めやすいのは、財産の配分を不均一に行う場合です。法的に問題がなくても相続人が納得できず、人間関係に亀裂が入ってしまうかもしれません。

財産や割合の記載があいまい

遺言書を使って特定の財産を渡す、あるいは相続割合を指定するのであれば、その内容を具体的に示す必要があります。あいまいな表現しか記載されていないと、その解釈をめぐって相続開始後に揉める危険性が高まります。

 

たとえば「自宅」とだけ記載されていると、土地と建物の両方を指すのか、建物だけを指すのかが不明確です。「預金」とだけ記載されている場合も、どの金融機関のどの口座を指すのかがわからず揉めるかもしれません。

紛争を防ぐために遺言書作成で気を付けること

紛争を防ぎ、適切な形で遺言書を作成するため、以下の内容にご注意ください。

作成前の入念な準備

思い立っていきなり遺言書を書き始めたのでは重要事項を見落としたり誤りが含まれていたりするリスクが大きいです。

 

そこで作成前の準備段階で以下の取り組みに着手しておきましょう。

 

  • 財産の正確な把握(不動産登記簿や預金残高証明書等の取得で内容を明らかに)
  • 相続人の範囲の確定(戸籍謄本等を収集して調査)
  • 遺留分の計算(民法に従い各自の遺留分の金額を試算)
  • 家族への説明(情報共有を早めにしておきコミュニケーションを取る)

遺言書の種類と要件の把握

遺言書を作成するとき、多くの場合「自筆証書遺言」か「公正証書遺言」を選ぶことになるでしょう。

 

どちらを選んでも遺言内容の効力に差は生じませんが、作成過程と形式不備のリスクなどには違いがあります。

 

  • 自筆証書遺言についての留意点
    • 安く手軽に作成できる一方、形式不備のリスクは比較的高い
    • 保管も自らの責任で行う。ただし法務局の保管制度を利用すれば安全性を確保できる
  • 公正証書遺言についての留意点
    • 公証人が関与するため形式不備のリスクは低い
    • 公証役場で保管されるなど安全性が高いが、証人2人を用意したり費用がかかったり、手続き上の負担は比較的大きい

遺言執行者指定の検討

遺言内容の実現を職務とする「遺言執行者」を定めることも可能なため、検討すると良いでしょう。

 

相続手続きがスムーズに進み、相続人間の対立を防ぐ効果も得られるかもしれません。遺言執行者がいなくても遺言は執行されますが、その場合相続人らが自ら遂行し、協力しながら進めていかなくてはなりません。

 

弁護士などの専門家、中立的な立場から遺言を執行できる人物を指定しておくとよりトラブル防止の効果が期待できます。

定期的な見直しも忘れずに

遺言書作成から長期間経過すると、当初想定していた内容が適切でなくなることがあります。

 

遺言書作成後に子どもが生まれたり養子縁組をしたり、さまざまな状況の変化が生じているかもしれません。そのため遺言書はいったん作って終わりではなく、その後も必要に応じて見直していくもの、という意識を持っておきましょう。

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Lawyer弁護士紹介

河野 哲(こおの さとる)

福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)

官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。

経歴

  • 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
  • リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
  • 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。

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