これって脅迫?家族間での脅迫被害トラブルの例とその対処法について
家族間の問題はできれば内々に解決したいものです。
しかし脅迫行為がエスカレートしてくると安心して過ごすことができませんし、家族だからとすべてを受け入れることは難しいでしょう。
たとえ家族であっても脅迫は犯罪ですので、泣き寝入りすることなく法的措置も検討してみましょう。
家族内での法的トラブルについて
家族間の揉め事については「できれば穏便に解決したい」と願う方が多いでしょう。
しかし感情的な対立が深まったり金銭問題が絡んだりしてくると、法的トラブルに発展することも少なくありません。例えば、親の介護をめぐる兄弟間の争いや夫婦間の離婚に伴う財産分与、親族間での借金の踏み倒しなど、簡単には譲歩できない問題も多く見られます。
相手方が家族であるがゆえに法的手続きに踏み切ることへ抵抗を感じることもあるでしょうし、関係悪化への懸念を抱く方も多いことでしょう。
しかし家族間の法的トラブルでも、当事者同士での話し合いによる解決が難しいのなら法的措置を検討する必要があります。
親族間での犯罪については特例がある
家族間で起こった犯罪であっても、法的には処罰の対象です。
しかしながら、日本の刑法という法律では「親族間で特定の犯罪が起こった場合、刑を免除する」などの特例が設けられています。
これは「親族相盗例」と呼ばれ、例えば親の財布からお金を無断で持ち出す行為は窃盗罪に該当するところ、この特例の適用を受けることによって刑罰に処すことができなくなるのです。
そのため窃盗や詐欺、横領などの被害を受けても刑罰を科してもらうことはできません。
※この特例が適用されるのは、被害者の夫や妻、子どもや孫、両親や祖父母、その他同居する親族。
脅迫罪には特例の対象外
家族間の平和を維持するための親族相盗例ですが、すべての犯罪に適用されるわけではありません。
実際、「脅迫罪」についてはこの特例の適用対象外です。
脅迫罪は、人の生命・身体・自由・名誉・財産などに対し危害を加えることを伝えて脅迫する行為に成立する罪です。
たとえ家族間であっても脅迫行為は相手を精神的に追い詰め、深刻な恐怖や不安を与える可能性があることに変わりはありません。
家族同士でも脅迫罪に該当するケース
次のような言動をすると脅迫罪が成立する可能性があります。
- 「殺してやる」「お前の子どもを殺す」
- 「ボコボコにしてやる」
- 「ここから出られないように閉じ込めてやる」
- 「お前の悪事をSNSでバラしてやる」
- 「お前の車を傷つけてやる」 など
ほかにも例えば配偶者に対する「不倫をしたら殺してやる」といった発言、親に対する「お金を渡さないと家を燃やしてやる」といった発言、他の相続人に対する「相続放棄をしないと痛い目にあわせてやる」といった発言などでも脅迫罪が成立する可能性があります。
脅迫罪が成立する条件とは
脅迫罪は刑法で次のように規定されています。
(脅迫)
第二百二十二条生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
以上から、脅迫罪が成立する要件は次のようにまとめることができます。
脅迫罪の成立要件 | |
---|---|
危害を加える旨の告知により脅迫をしている | ・「脅迫」といえるには、通常の人が恐怖を覚える程度の害悪であることが求められる。 ・告知の方法は、必ずしも直接である必要はなく、メールやSNSなどでも成立する。 ・親族を対象とした危害の告知でも成立する。 |
危害の内容が①生命②身体③自由④名誉⑤財産のいずれかを対象としている | それぞれ、命に関わる内容(①)、身体的な苦痛や怪我を伴う内容(②)、自由な活動を阻害する内容(③)、社会的な評価に関する内容(④)、財産を消失させたり価値を下げさせたりする内容(⑤)が該当する。 |
家族同士で法的責任を追及するときも弁護士に相談
脅迫罪は親族間であっても法的に処罰することが可能な犯罪です。しかし現実には、家族間の問題であるがために警察が介入をためらうケースも少なくありません。実際のところ「家族の問題だから当事者同士で解決をしてください。」などと、警察が積極的に動いてくれないケースも考えられます。
このような場合、泣き寝入りせず法的責任をしっかりと追及したいのであれば、弁護士にご相談ください。弁護士は、脅迫の証拠収集のポイントをアドバイスしたり、警察への働きかけや被害者への法的サポートをしたり、さまざまな面から支援することができます。
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福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)
官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。
経歴
- 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
- リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
- 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。
Office事務所概要
事務所名 | 二の宮法律事務所 |
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代表弁護士 | 河野 哲(こおの さとる) |
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