脅迫罪とは?成立する条件や家族間で成立するかなどを解説
相手に暴言を吐いたり、X(旧Twitter)やInstagramなどでひとを害するような発言をしたりすると状況によって脅迫罪になる可能性があります。
今回は、脅迫罪の成立要件や家族間やパートナー間での脅迫罪は成立するかなどについて解説していきます。
脅迫罪とは
脅迫罪とは他人の生命、身体、自由、名誉、財産に関して危害を加える旨を告知して人を脅かす罪のことをいいます。
危害を加える告知とは、具体的に次のようなものが挙げられます。
・生命…告知を受けた本人や親族の生命を奪うと発言すること
・身体…告知を受けた本人や親族の身体を傷つけると脅すこと
・自由…告知を受けた本人や親族の身体を拘束するなど自由奪うような発言をすること
・名誉…告知を受けた本人や親族に対し「○○しなければ秘密をバラす」などと脅すこと
・財産…告知を受けた本人や親族に対し「家を燃やしてやる」などと脅すこと
上記のようなことを行うと、刑法222条にあたる脅迫罪が成立する可能性が考えられます。
脅迫罪の害悪の告知とは
脅迫罪が成立する条件のひとつとして害悪の告知というものがあります。
告知の方法は、直接本人に伝えることはもちろんのこと、メールや電話であっても「害悪の告知」としてみなされます。
また、SNSやインターネットの掲示板での発言も、状況によって「害悪の告知」とされる可能性があります。
脅迫罪の法定刑
脅迫罪で逮捕、起訴され、有罪が確定した場合、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金を科される可能性があります。
害悪の告知が本人や親族以外に対するものでも脅迫罪は適用されるのか
脅迫罪の害悪の告知の対象は、本人か、親族に対するものであることが条件です。
基本的に恋人や友達という関係は対象外です。
脅迫罪と恐喝罪の違い
脅迫罪と似たような罪に恐喝罪というものがあります。
2つの大きな違いは、脅迫を用いてお金などの財産を交付させるかどうかがあります。
脅迫罪は、人に一般的に恐怖感を覚えさせるような害悪の告知によって成立する罪です。
一方、恐喝罪は脅迫などを用いて、相手を抑圧させることで金品を巻き上げることで成立する罪となります。
また脅迫罪は未遂の場合、把握しようがないので未遂罪はありませんが、恐喝罪の場合、最終的に金品などを巻き上げられなかったとしても未遂罪として問われる可能性があります。
日常生活で脅迫罪になるのはどんな時?
友達や家族の中でふざけ合ったり、喧嘩したりしたときに、言葉だけでみると脅迫とも取られるような発言をすることもあるかもしれません。
当事者同士が問題だと感じていない発言でも、他の第三者が聞いて問題と感じた場合、脅迫罪を問われることもあるのでしょうか。
結論からいうと、ふざけ合いなどでの発言が脅迫罪にあたる可能性は限りなく低いです。
というのも、脅迫罪が成立する要件として、加害者が発言した言葉が、一般的に恐怖を覚える程度であるというものがあるためです。
詳しく確認していきましょう。
害悪の告知を行った状況が重要になる
「殴るぞ」など脅迫罪にあたるような発言をしたとしても、脅迫罪にならないケースは多くあります。
というのも、脅迫罪は「害悪の告知」を受けた者が実際に恐怖を感じるかどうかが重要となるからです。
そのため、次のようなシチュエーションの場合、発言自体が脅迫めいたものでも脅迫罪には当たらないと思われます。
・幼い子供が成人男性に対して「ぶん殴るぞ」と発言する
・お互いがふざけあっていて冗談で「殺すぞ」と発言する
これらのシチュエーションは、害悪の告知を受けた側が実際に恐怖感を覚えないため、脅迫罪が成立しません。
家族間での脅迫罪は認められるのか
脅迫を受けるのは、必ずしも他人とは限りません。
家族から脅迫されるシチュエーションとして、配偶者からDVやモラハラを受けていたり、親から虐待を受けたりなどといったことが考えられます。
家族から脅迫を受けた場合、脅迫罪は適用されるのでしょうか。
脅迫罪は親族相盗例が適用されない
家族間や親族間の一部の犯罪は、親族相盗例といって告訴をしなければ犯罪にならなかったり、刑罰の免除がされたりする規定があります。
親族相盗例が適用される罪は、窃盗や詐欺、恐喝や横領といった罪があります。
脅迫罪は、親族相盗例が適用されないため、家族間であっても成立する罪です。
そのため、家族間の脅迫が発覚し、逮捕、起訴されて有罪が確定した場合には、通常通り脅迫罪として刑罰が科されます。
まとめ
今回は脅迫罪が成立する条件や家族間で脅迫罪が成立するのかどうかについて解説していきました。
脅迫罪は直接対面で脅したときだけに適用されるのではなく、SNSなどのツールを通した発言も対象になりえます。
また、家族間で脅迫行為があった場合にも成立する可能性があります。
脅迫罪などの刑事事件のトラブルを抱えている場合には自力での解決はかなり難しいため、悩んだときには弁護士に相談することを検討してください。
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Lawyer弁護士紹介
福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)
官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。
経歴
- 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
- リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
- 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。
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