二の宮法律事務所 > 相続 > 空き家を相続放棄したい|管理義務はどうなるの?

空き家を相続放棄したい|管理義務はどうなるの?

親が亡くなった際に、折角残してくれた家であっても、現在住んでいる場所から遠く、相続しても活用する機会がなく、管理が困難な場合も多いでしょう。

そのような場合の選択肢に「相続放棄」が挙げられますが、相続放棄を選択したとしても、すぐさま空き家の管理義務が消滅するのか懸念されるのではないでしょうか。

本稿では相続放棄後の管理義務の問題、相続放棄の手続き時の注意点を中心に、20234月からの相続放棄についての民法改正にも触れ、解説いたします。

相続放棄後の管理義務

相続放棄した場合でも、新たな相続人に財産の引き渡しが完了するまでは、自分の財産と同様に管理せねばならない義務が、相続放棄後の管理義務です。

今回の空き家の相続ケースで管理義務を負う場合は、自宅のように掃除する必要はありませんが、周辺住人に迷惑が掛からないよう維持・管理することが求められます。

もし、新たな相続人へ相続する間に管理義務を怠り、家屋からの落下物によってひとが怪我したり、他人の所有物の家財を損傷させた場合、賠償責任が問われる可能性があります。

また、固定資産税はその年の11日時点の所有者に課されるため、納税義務の発生にも注意しなければなりません。

しかし、核家族化が進んだ昨今に合わせ、相続放棄後の管理義務について、法改正によって以下のような変更が生じました。

 

■法改正前

  • 1人しか相続人がいない場合、相続放棄しても管理義務が継続される
  • 複数いる相続人全員が相続放棄した場合には、最後に放棄した者が管理義務を負う。

 

■法改正後

  • 現に居住・管理の実態ある場合など「現に占有している」者に限り管理義務を負う

 

これまで曖昧であった管理義務を負う者が明確になり、占有する実態が確認されない相続人への管理義務が発生するリスクは減少しました。

相続放棄した場合の注意点

空き家の相続放棄を決断した場合、自身への相続放棄による影響に注意を払う必要があります。

具体的に確認していきましょう。

全ての資産継承ができなくなる

相続放棄は空き家の相続権に限らず、すべての権利義務を承継しない手続きです。

そのため、相続放棄する場合には空き家の管理義務の有無だけでなく、その他の相続財産も考慮し、総合的な判断が必要となります。

一度放棄したら撤回できない

相続放棄一度受理されると特別な事情がない限り、原則として撤回はできません。

相続放棄の手続きには期限がある

相続放棄はいつでも好きなタイミングでできるわけではありません。

具体的には相続できる事実が確認されてから、3か月以内に相続放棄するかどうか判断が必要です。

まとめ

今回の民法改正は、空き家の相続放棄時の管理義務の対象者が明確になり、改正前と比べ利用実態のない相続人への負担軽減に繋がると考えられます。

しかし、相続放棄の手順を誤ると、相続放棄ができなくなる可能性もあるため、自己判断のみでの行動は非常に危険です。

財産の相続前や、相続後であっても放棄したいお考えの方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

Keywordよく検索されるキーワード

Lawyer弁護士紹介

河野 哲(こおの さとる)

福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)

官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。

経歴

  • 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
  • リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
  • 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。

Office事務所概要

事務所名 二の宮法律事務所
代表弁護士 河野 哲(こおの さとる)
所在地 〒910-0015 福井県福井市二の宮2-28-21セントラルヴィレッジ2階
電話番号/FAX番号 0776-65-3370/0776-65-2969
営業時間 9:00~17:00 ※事前予約で時間外対応可能
定休日 土・日・祝 ※事前予約で休日対応可能
初回相談料 30分無料
アクセス

サン二の宮通りダイソー様東側交差点南東角。

1階にフィットネスクラブPOWER LINK様があるビルの2階です。(駐車場あり)

事務所外観