遺言書の種類と作成方法
■遺言の種類
遺言が法的効力を持つためには、民法上の方式にしたがって作成されていることが必要になります。民法上認められた遺言方式として、
①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3種類があります。
■自筆証書遺言
●作成方法
自筆証書遺言とは、遺言者が手書きで作成し、自ら保管する形式の遺言です。遺言者が、遺言書において作成した相続財産の目録以外の全文、作成日付および氏名を自書し、これに押印することによって作成します(民法968条1項)。
●要件
自筆証書遺言が有効となる要件は、「遺言者が自筆で遺言書を作成すること」、「遺言者が作成した遺言書に作成日付および氏名を自書すること」、「遺言書に遺言者が押印すること」です。自筆とは、すなわち手書きということであり、パソコンやワープロで作成して印字したものは認められません。もっとも、遺言書に添付する財産目録は、全てのページに署名および押印をすれば、パソコン等の印字や、通帳のコピー等をもって代えることができます(民法968条2項)。上記の要件を満たしたうえで、家庭裁判所に遺言書を提出し、検認手続きを経る必要があります。
自筆証書遺言には、改ざんや隠匿の危険があり、また、全て手書きで作成するという点で負担が大きい等のデメリットがあります。しかし、近年、このような2つのデメリットに対応する法整備が行われ、①自筆証書遺言を公証役場で保管する仕組みの新設、②財産目録をパソコン等で作成し、その添付部分に署名・押印を行うことが認められました。①の仕組みを「遺言書保管制度」といい、これを利用する場合は検認手続きも不要となります。
■公正証書遺言
●作成方法
公正証書遺言とは、2人の証人が立ち会いの下、遺言者が公証人に遺言の内容を口授し、公証人がそれを聴き取りながら筆記して作成する遺言です(民法969条)。証人は2人以上必要です。そして、公証人は、裁判官や検察官出身者が務めるのが通常であるため、遺言の法律上の要件を確実に満たすように作成してもらえるといえます。また、作成した遺言書は公証役場で保管されます。
■秘密証書遺言
●作成方法
秘密証書遺言とは、遺言者が日付を記載し、署名押印して封印した遺言を、2人の証人と公証人に提出し、遺言書の存在を明らかにしつつその内容を秘密にして保管する方式の遺言書です(民法970条1項)。要件を満たした遺言書を家庭裁判所に提出し、検認手続きを経る必要があります。
●要件
自筆証書遺言と異なり、全文の自筆は要件とされていません。秘密証書遺言の要件は、「署名」と「押印」を自分で行うことであり、後の内容はPCでの作成や他の人の代筆が認められています。
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Lawyer弁護士紹介
福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)
官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。
経歴
- 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
- リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
- 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。
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