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空き家相続の注意点!損害賠償などトラブルを回避するための対応

親や親族が亡くなり、使用していない住宅を相続するケースがあります。資産価値の高い物件であれば良いのですが、実際には扱いに困る物件の方が多いです。

空き家の相続にはさまざまな責任やリスクも伴いますので、大きなトラブルが発生する前に対処しなくてはなりません。具体的にどのような点に注意しないといけないのか、どう対応すべきなのか、当記事でご確認いただければと思います。

相続登記は相続人の義務

空き家にかかわらず、不動産を相続したときは「相続登記」の手続きに対応しなくてはなりません。その家に実際に住むかどうかは関係なく、相続で所有権を得た方には登記を行うべき法律上の義務が課されるためです。

 

そこで相続開始を知った日から3年以内に登記を完了させましょう。手続きを怠ると「10万円以下の過料」が科される可能性があります。

 

また、相続登記を進める前提として「相続人全員を確定させること」も欠かせません。戸籍謄本等を収集し、法定相続人を漏れなく把握していきます。相続人が多数存在する場合や疎遠な親族がいる場合には連絡を取るのに時間を要するため、早めに取り掛かることが大事です。

 

さらに、遺産分割協議を進めるにあたって「空き家の価値を正確に把握すること」も忘れてはいけません。築年数の経過した建物は資産価値が低下している場合が多く、土地の価格についても立地条件によって大きく異なります。適正な評価を行わないまま協議を進めると、後々のトラブルの原因となりかねません。

空き家特有の注意点

空き家を相続すると、不動産の所有者として管理責任を負うことになります。特に人が住んでいない建物は劣化の進行が早く、適切な維持管理を怠ると問題を引き起こす可能性がより高くなってしまいます。

建物の劣化による第三者への危害

空き家のままだと換気や清掃がなかなか行われず、湿気による腐食、カビの発生が進行しやすいです。屋根や外壁の損傷により雨水が浸入し、建物全体の構造に深刻な影響を与える危険性もあります。

 

さらに問題なのは、建物の一部が崩落して隣接する住宅や通行人に被害を与える可能性があるということです。この場合、所有者が損害賠償請求を受けることになるでしょう。

 

この事態を防ぐには定期的な点検や修繕が有効ではありますが、経済的な問題として相続人を悩ませることになります。

近隣トラブルの可能性

管理が不十分だと、庭木の繁茂による境界侵入、害虫や害獣の発生、不法投棄の温床化など、周辺環境にまで悪影響を及ぼします。

 

特に住宅が密集しているエリアだと、空き家の管理状況が近隣の生活環境に直接的な影響を与えてしまいます。近隣の方から苦情を受けたり改善を求めたりすることもあるでしょう。その結果、人間関係の悪化を招き、将来的な売却や活用の際に障害となる可能性も生じます。

売却・活用・解体を検討する

空き家を相続した方にできることとして、空き家の「売却」「活用」「解体」の大きく3つの選択肢が挙げられます。それぞれに良し悪しがあるため、立地条件や建物の状態、相続人の経済状況等を総合的に考慮して判断しましょう。

空き家を売却して手放す

空き家を売却して手放せば、空き家問題に悩まされることはなくなります。

 

しかし、売却も簡単ではありません。買手がなかなか見つからないこともありますし、建物の状況によって売却方法や価格は大きく左右されます。

 

たとえば築年数が浅く状態が良好であればそのまま住宅として販売することができるでしょう。一方、老朽化が進んでいる場合は古家付き土地として販売するか、解体して更地にしてから売却することも検討しなくてはなりません。

 

なお、売却により利益が得られた場合には譲渡所得税の問題が生じます。相続から3年以内に空き家を売却した場合には、一定の条件下で3,000万円の特別控除を適用できる特例もありますので、税制についてもチェックしておくと良いでしょう。

参考:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

賃貸物件等で活用する

立地条件が良好で建物の状態も比較的良いなら、賃貸住宅として活用する選択肢があります。

 

上手くいけば定期的な賃料収入を得ることができるでしょう。しかし入居者の確保や建物の維持管理、トラブル対応等の責任も伴う点には要注意です。

 

賃貸経営を成功させるには、周辺の家賃相場調査や必要な修繕工事の実施、信頼できる管理会社の選定など入念な準備が欠かせません。プロのサポートも受けながら計画的に取り組むようにしましょう。

解体して劣化による問題を解消

建物の老朽化が著しく、売却も賃貸も困難な場合には、解体して更地にするという選択肢もあります。

 

更地であれば有効活用もしやすいですし、建物が劣化したことに伴う種々の問題も解消できます。

相続前なら相続放棄も検討してみる

空き家を相続することで得られる価値よりも、管理コストや負債の方が大きくなるケースがあります。このような状況では「相続放棄」という選択肢も検討すると良いでしょう。

 

相続開始を知ったときから3ヶ月以内であれば、家庭裁判所で手続きを進めることができます。ただし、相続放棄を行うとその空き家だけでなくすべての財産を放棄することになるため、検討は慎重に進める必要があります。

 

また、相続放棄が受理された後も次の管理者が決まるまでの間は管理責任が継続する場合があります。

 

こういった多くの問題を踏まえて、相続放棄をするかどうか、空き家を相続した場合どう管理するかを考えていきましょう。

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Lawyer弁護士紹介

河野 哲(こおの さとる)

福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)

官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。

経歴

  • 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
  • リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
  • 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。

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