住居に侵入後の窃盗は罪が重くなる?成立する罪や刑罰について解説
他人の住居に無断で入り込んで物を盗む行為には、「窃盗した」だけでなく「侵入した」という行為に対する刑事責任も発生します。2つの犯罪行為が重なっていますが、刑罰が単純に2つ重ねられるわけではありません。
空き巣や居空きで何という罪が成立し、刑罰はどのように適用されるのか、ここで解説していきます。
成立する罪と法定刑の内容
他人の住居に無断で侵入する行為は「住居侵入罪」にあたります。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
条文にあるとおり、正当な理由なく他人の住居や建造物等に侵入すると「3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金」という法定刑が適用されます。
※住居とは |
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住居侵入罪における「住居」とは日常の生活に使用される場所を指し、一般的な家屋のほかホテルの客室なども含む。 塀で囲まれた庭に立ち入るだけでも住居侵入罪は成立し得る。 |
一方、他人の財物を盗む行為は「窃盗罪」にあたり、「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」という法定刑が適用されます。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
住居侵入と窃盗は「牽連犯」として扱われる
住居に侵入して窃盗をした場合、住居侵入罪と窃盗罪の2つの罪が成立します。
この2つは「牽連犯(けんれんはん)」という関係になります。
牽連犯とはある犯罪がもう一方の犯罪の手段または結果になっている場合をいい、住居侵入が窃盗という目的を達成するための手段となっているなら牽連犯に該当します。
そしてこの場合に適用される刑罰に関するルールとして、次の規定が置かれています。
犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
つまり、住居侵入と窃盗のうち重い方の刑で処断されるということです。
住居侵入罪(拘禁刑最大3年)と窃盗罪(拘禁刑最大10年)を比べると窃盗罪の方が重いため、このシーンでは窃盗罪の法定刑である「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」の範囲で刑が決まるということになります。
刑が重くなりやすいケース
法定刑の範囲は同じでも、侵入の態様や状況によっては実際に科される刑罰の重さに差が生じます。その傾向について見ていきましょう。
人がいる状態での侵入(居空き)
誰も在宅していない隙を狙う「空き巣」に対して、住人が在宅しているにもかかわらず侵入して盗みを働くことを「居空き」といいます。
発覚した場合に住人に危害を加えるリスクが高いことから、悪質性が高い行為として量刑に影響することがあります。
また、住人に気づかれた際、実際に暴行または脅迫を加えて金品を奪った場合は強盗罪が成立し、「5年以上の有期拘禁刑」という法定刑が適用されるため、罰の重さは格段に重くなります。
常習的な侵入窃盗
住居への侵入を伴う窃盗を繰り返している場合は、1回きりの行為と比べて悪質性が高いと評価されやすいです。
また、凶器を携帯したり複数人で共謀したり、ドアや錠を破壊・開解するなどの方法で住居に侵入する窃盗を反復継続して行っているときは、「常習特殊窃盗罪」というより重い罪が成立することがあります。
この場合、盗犯等の防止及び処分に関する法律により、法定刑は3年以上20年以下の有期拘禁刑となります。
複数件が併合罪になる場合
1件の住居侵入窃盗で起訴される場合は窃盗罪の法定刑(最大10年)の範囲内ですが、複数件まとめて起訴される場合は「併合罪」として処理され、もっとも重い罪の1.5倍まで上限が引き上げられます。
つまり、窃盗罪であれば「15年以下」まで拘禁刑の上限が広がります。
以上で説明したように、住居への侵入を伴う窃盗では住居侵入罪と窃盗罪が重なり、場合によっては重い処罰の対象となります。
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福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)
官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。
経歴
- 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
- リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
- 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。
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