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保釈請求とは~保釈の条件と流れ~

保釈とは、保釈保証金の納付を要件として、被告人勾留の執行を停止し、身柄を解放することをいいます。そもそもの勾留が、被疑者・被告人の逃亡や証拠隠滅を防止するための身柄拘束であり、この身柄拘束という人権制約の大きい方法を停止し、その代わりに保釈保証金の没収という心理的負担により勾留と同様の目的を達するための制度が保釈なのです。

 

そうした目的から保釈保証金は、没収された場合に被告人への制裁となる額とされ、その額の相場は150万円から300万円程度と言われています。

この額は被告人が資産を多く持っている場合にはさらに高額なものとなります。

保釈は、被告人や弁護人などの請求があった場合には原則的には認められなければならないこととなっています(権利保釈)。しかし、

 

①死刑、無期または短期1年以上の懲役に当たる罪を犯した場合
②前に死刑、無期または長期10年以上を超える懲役・禁錮に当たる罪で有罪判決を受けたことがある者の場合
③常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯した者である場合
④罪証隠滅のおそれがある者の場合
⑤被害者などの事件の関係者、その親族などに危害などを加えるおそれがある者の場合
⑥被告人の氏名または住居が分からない場合

 

の6つの要件に1つでも当てはまる場合には、例外的に保釈が認められないこととなっています。

権利保釈が認められない場合でも、裁量保釈という形で、裁判所が被告人の前科や嫌疑をかけられている犯罪の軽重などを判断して保釈が認められる場合もあります(裁量保釈)。

また勾留の許可をするのは裁判所であるためあまり利用されることはありませんが、勾留が不当に長くなった場合に被告人や弁護人からの請求により裁判所が職権で保釈を認めることもあります(義務的保釈)。

保釈請求の流れとしては、保釈の申請、裁判所の審査、裁判所の決定、保釈保証金の納付、保釈となります。

 

まず、保釈の申請に当たっては、身元引受書や示談書のコピー、親族などからの嘆願書といった書類を添付した保釈申請書を弁護士が裁判所に提出します。

その上で裁判所は検察官に意見を求めたり、弁護士と面会したりするなどして請求を認めるかの審査を行い、決定を下します。申請からこの決定までの期間としては1週間程度とされています。

保釈が決定された場合には、保釈保証金の金額などが伝えられ、弁護士を通じて保釈保証金が納付されると釈放されることとなります。

 

保釈にあたっては、弁護士に請求の手続きを依頼した方がよいでしょう。これは、保釈の手続において、罪証隠滅のおそれがないことを主張したり、被害者との示談を成立させたりするなど、弁護士を通じて行わなければ困難な手続きが含まれているためです。また裁判所との交渉により認められる可能性が高くなることからも、刑事事件に強い弁護士に依頼することが保釈の可能性を高めることにもつながります。

 

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河野 哲(こおの さとる)

福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)

官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。

経歴

  • 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
  • リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
  • 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。

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