不同意性交等罪をわかりやすく解説|旧強制性交等罪との違いや構成要件・刑罰について
2023年、性犯罪に関する法律に大きな改正があり、従来の「強制性交等罪」および「準強制性交等罪」が統合されて「不同意性交等罪」へと変わり、内容も見直されました。
当記事ではあらためて本罪がどういった罪なのか取り上げ、構成要件や有罪となった場合の刑罰なども解説していきます。
不同意性交等罪とは
不同意性交等罪を簡単に表現すると、「相手との合意がなく、同意の表明もしくはまっとうするのが困難な状況下で性交等を行った場合に成立する罪」といえます。
刑法第177条に次のように規定されており、罪として成立し得る性的行為も幅広く定められています。
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
夫婦や事実婚の関係にあれば適用されないといったルールは規定されておらず、配偶者であっても成立する可能性はあります。赤の他人に限らず、相手の意思を無視した性的行為は犯罪として成立します。
不同意性交等罪が成立する要件
本罪が成立するには、「同意しない意思の形成、そして表明、あるいはまっとうすることが困難な状態」にさせた上で、または「すでにそのような状態にあることに乗じて」、性交等を行うことが要件として求められています。
- 「意思の形成が困難」とは、性的行為をするかどうかを考えたり決めたりする能力が不足していて、「したくない」という気持ちを抱くことすら難しい状態。
- 「意思の表明が困難」とは、したくない意思は持っているが、外部に示すのが難しい状態。
- 「意思を全うするのが困難」とは、したくない意思を表すことはできたものの、その態度を貫くのが難しい状態。
言葉の意味を正しく解釈することが重要ですので、整理しておきましょう。
8つの類型
刑法では、上記の「困難な状態」を引き起こす原因として次の8つを列挙しており、以下の内容やそれらに類する行為・事由も対象としています。
- 暴行または脅迫
・・・体への有形力の行使、加害の告知により恐怖させる。 - 心身の障害
・・・身体障害や知的障害、精神障害などを指し、一時的なものも含まれる。 - アルコールまたは薬物の影響
・・・飲酒や薬物を使い、正常な判断ができない状態。 - 意識がはっきりしない
・・・眠っている、あるいは意識が朦朧としている状態。 - 拒否の意思を形成・表明・全うするいとまがない
・・・性的行為をされようとしていると気付き、実際に行為がされるまでの間に、意思決定をする余裕がない状態。 - 予想外の事態による恐怖・驚愕
・・・予想外の事態に極度の不安を感じたり動揺したりして、平静を失った状態。 - 虐待に起因する心理的反応
・・・虐待が原因で出来事を通常の事と受け入れてしまったり、抵抗しても無駄だと考えてしまったりしている心理状態。 - 経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮
・・・職場や学校、家庭などの関係上、拒否すると自分や親族などに悪い影響が及ぶのではないかと不安に思う状態。
このようにさまざまな状況が想定されています。
誤信・人違いによる場合
わいせつな行為ではないと勘違いさせたり、行為をする者に関して人違いをさせたりして性交等を行った場合も、本罪は成立します。
たとえば医療行為のふりをして性的な行為をはたらく、暗闇の中恋人と間違わせて行為に及ぶ、などのケースがこれに当たります。
被害者が16歳未満の場合
16歳未満の者に対する性交等であれば、上記8つの要件がなくても本罪は成立します。
※相手が13歳~16歳未満の場合、行為者が5歳以上年上である場合に限られる。
これは、16歳未満の者は性的行為に関する自由な意思決定の能力に欠けるという考えに基づいて設けられたルールです。
強制性交等罪から変わった点
従来は「暴行または脅迫」を要件とする強制性交等罪と、「心身の障害や抗拒不能状態」を利用する準強制性交等罪とに分かれていましたが、改正後は、こうした複数の類型が統合され、上述の通り包括的な要件へと変更されました。
そのため必ずしも暴行・脅迫を伴っていなくても、フリーズ状態になったり、虐待の影響、立場を利用したりした行為なども、明確に処罰対象となったのです。
不同意性交等罪に適用される刑罰
本罪の法定刑は「5年以上の有期拘禁刑」と定められています。
拘禁刑とは、2025年改正で従来の「懲役刑」と「禁錮刑」を統合した設けられた新たな刑罰です。有期拘禁刑の上限は20年ですので、本罪では5年~20年の範囲で刑が科されることになります。
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福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)
官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。
経歴
- 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
- リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
- 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。
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