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後から発見された遺産についての相続はどうしたらいい?

相続手続きが完了したあとで新たな遺産が見つかった場合、どのように対処すべきかを当記事では解説しています。

遺産分割協議のやり直しが必要になるのか、当時の相続人がすでに亡くなってしまっている場合はどうすればいいのか、借金が見つかったときはどうするのか、など状況別に説明していきます。

対象財産についてのみの遺産分割協議を行う

後から遺産が発見された場合、基本的には対象財産のみについて協議を行えば十分です。

 

相続手続き全体をやり直す必要はありませんが、新たに発見された遺産は未分割財産であるため、その点について相続人らで話し合って誰が取得するのか、どのように分割するのかを決めましょう。

 

この場合、すでに完了しているほかの財産についての分割内容はそのままで、新たな遺産だけを対象とした遺産分割協議書を作成することになります。

遺産分割協議をやり直すケースもある

新たに発見された遺産が高額である場合など、状況によっては遺産分割協議全体に影響が出るケースもあります。特に大きな影響を与えるのは「当該財産の存在が当初から明らかになっていれば協議の結果が大きく変わっていた」というケースです。

 

このケースでは、錯誤を理由として当初の遺産分割協議を取り消せる可能性があります。錯誤による取り消しは民法の規定に従ったルールであり、平たく説明すると「勘違いを理由にすでに行った意思表示を取り消すこと」を指します。

※相続人に、その錯誤について重大な過失がないこと、錯誤に気が付いてから5年以内に取り消しを主張することを要する。

 

なお、錯誤取消を主張する以外にも、相続人全員の「もう一度話し合おう」という合意があれば遺産分割協議を解除することも可能です。

再度の協議を防ぐ方法

後から遺産が発見された場合の紛争を未然に防ぐため、当初の遺産分割協議書作成時に「新たに遺産が見つかったときの対処」を盛り込んでおくことが効果的です。

 

たとえば、遺産分割協議書に未発見の遺産について特定の相続人が取得することを定めおけば、あとになって遺産が出てきても取得者が決まっていますので対応に悩むことがありません。

 

記載例)“新たな財産が見つかったら、相続人である〇〇が取得するものとする。”

 

もしくは、発見された遺産を法定相続分に基づいて分割する方法も考えられます。この方法は現金や預貯金などの財産に対しては比較的スムーズに進められますが、不動産などの分割が困難な財産の場合は代償分割が必要となり対応が複雑になる可能性もあります。

 

記載例)“新たな財産が見つかったときは、法定相続分で分割するものとする。”

 

あとで見つかった遺産の価額がとても大きい場合に備えて、次のように記載する方法もあります。

 

記載例)“新たに見つかった財産の価額が〇〇円以下であれば、相続人〇〇が取得するものとする。〇〇円を超えている場合は、再度遺産分割協議を行う。”

相続人がすでに亡くなっているときはどうする?

新たに遺産が見つかった時点ですでに相続人が亡くなっている可能性もあります。このときでも遺産分割協議書で対策されており特定の人物が取得するよう記載されていたなら、その内容に従って取得者が確定します。

 

しかしその記載がないときは基本に従い未分割財産についての協議が必要となります。そして協議に参加すべき相続人がすでに亡くなっているのであれば、亡くなった方を被相続人とする相続人らが代わりに参加して遺産の分割を進めます。

 

この場合相続人関係が複雑化するため要注意です。弁護士にも相談し、戸籍の調査も進めて確実に相続人を確定させましょう。

新たに見つけた財産が借金だとどうなる?

新たに見つかった財産がプラスの価値を持つものとは限りません。実際、借金などのマイナスの価値を持つものが相続財産に含まれていたときはそれも相続人らで承継しないといけません。そのためあとで見つかった借金についても原則として相続人らが取得することになり、都合よく「借金だけは相続しない」といった扱いは認められません。

 

とはいえその借金が非常に大きな額であると相続によるリスクが大きくなりますので、「相続放棄」や「限定承認」も検討することになるでしょう。

 

原則としてこれらは相続開始を知ったときから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行わないといけないのですが、当初認識できていなかった借金が見つかったのであればその時点から3ヶ月以内に申述手続きを進めます。

 

なお、単に調査が漏れており借金の存在を把握できていなかったケースだと期限後の相続放棄は認められません。債務の存在を知らなかったことにつき合理的な理由があると認めてもらえる事情が必要で、これには家庭裁判所による個別の判断を要します。

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Lawyer弁護士紹介

河野 哲(こおの さとる)

福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)

官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。

経歴

  • 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
  • リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
  • 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。

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