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冤罪で逮捕されてしまった場合の対応法

冤罪であっても、逮捕され有罪判決が出てしまうと、今後の人生まで大きく左右されることになりかねません。本人だけでなく家族にも多大な影響を与える深刻な問題です。日本では起訴された場合の有罪率がとても高いため、逮捕直後からの言動に注意し、起訴されないよう対応することが重要といえます。

そこでこの記事に目を通していただき、「冤罪で逮捕されてしまったときどう対応すればいいのか」「どのような行動は避けるべきか」という点を確認していただければと思います。

冤罪による逮捕が起こるケース

冤罪による逮捕はさまざまな状況で発生する可能性があります。

 

たとえば被害者による見間違い、状況証拠による誤認、第三者による虚偽の証言、捜査機関による証拠の誤解釈などが原因として考えられます。

 

特に目撃証言は記憶の曖昧さや主観的要素が入りやすく、冤罪を引き起こす危険性が比較的高いといえるでしょう。そのためアリバイが不十分な場合や、犯罪現場に偶然居合わせた場合などには、誤認逮捕のリスクが高くなります。

逮捕直後の対応について

逮捕直後の対応が、その後の裁判ひいては人生にも大きな影響を与えます。感情的になったり、パニック状態になったりすることなく、冷静に対応することが何よりも重要といえるでしょう。落ち着いて、以下で解説する対応を心がけてください。

弁護士を呼ぶ

まずは冷静に状況を把握し、弁護士の助けを求めることを優先しましょう。

 

法律の専門知識がない状態では自身に不利な発言をしてしまうおそれがあるため、弁護士の助言等のないままに警察の取調べに応じることはとてもリスクが高いです。一方で弁護士がついていれば、権利を守るための適切な法的アドバイスを得ることができます。

 

なお、逮捕されている状態だとスマホやパソコンを操作してじっくりと弁護士を探すことはできません。そこで警察に対して「弁護士を呼んで欲しい」旨を伝えましょう。法律上、被疑者には弁護士と連絡を取る権利が認められています。無料で弁護士を呼んで相談ができる「当番弁護士制度」があるため、まずは弁護士と話し合える環境を作ることに努めてください。家族から弁護士に連絡して接見をすることも可能です。

曖昧な発言をしない

取調べにおいて、わからないことに対して推測で発言することは避けるべきです。記憶にないことや知らないことについては、「知りません。」「覚えていません。」とだけ答えましょう。余計なことを話してしまうと後々矛盾を生じさせ、不利な証拠として使われる可能性があります。

 

また、逮捕を避けようと嘘をつくことも避けるべきです。被疑者自身が逮捕されている事案に関して嘘をつくことは偽証罪にはあたらないものの、後に虚偽であったと発覚すると信用が大きく損なわれ、無実の主張自体も疑われることになりかねません。

黙秘権を行使する

警察からの質問にどう答えるべきか、悩むこともあるかと思いますが、困ったときは黙秘をします。憲法でも、自己に不利益な供述を強要されない権利(黙秘権)が保障されていますし、弁護士と接見してアドバイスを受けるまでは極力黙秘を貫きましょう。

 

ただし、名前や住所などの身元確認に関する質問まですべて黙秘する必要はありません。むしろ身元が特定できないことによって逮捕が長引く可能性もあるため、むやみに黙秘権を行使するのではなく、不必要に敵対的な態度をとることも避けるべきです。

逃走しない

逮捕時に抵抗したり逃走を試みたりすることは、状況を悪化させる可能性が高いため避けましょう。物理的な抵抗を伴う無理な逃走には、公務執行妨害罪など、本来の嫌疑とは別の刑事責任を生むリスクもあるためです。

 

また、逃走行為が裁判官や検察官に対して悪い印象を与え、勾留や起訴の判断に悪影響を及ぼすおそれもあります。

 

そして、たとえ一時的に逃げることができたとしても、現代社会では防犯カメラなどからすぐに居場所が特定され、後日逮捕される可能性が高いといえるでしょう。

弁護士への依頼方法と費用について

逮捕されているときは、当番弁護士に無料で相談するほか、当該制度を利用せずに費用を負担して私選弁護人と呼ぶことも可能です。信頼できる弁護士がいるときは連絡を取って相談・依頼をするのも良いでしょう。

 

費用を負担する余裕のない方は、弁護士会が運用している「刑事被疑者弁護援助事業」の利用も検討しましょう。一定の要件を満たすときは、弁護士会の負担で弁護を依頼することができます。

 

なお、逮捕後釈放されず勾留された場合は「国選弁護人」を呼ぶことも可能です。これは国が運用する公的な制度で、私選弁護人への依頼費用を負担できないなど一定の要件を満たす場合に利用ができます。ただし国選弁護人に依頼できるのは勾留後に限られますし、依頼する弁護士を指定することもできません。

起訴・有罪を避けるために大事なこと

起訴や有罪判決を免れるために、被疑者となった方が気を付けておきたいポイントがいくつかあります。

 

証拠保全

無実を証明するため、客観的な証拠の確保が重要。アリバイを証明する、レシートや交通系ICカードの利用履歴、GPSデータ、防犯カメラの映像、メール・SNSの記録などを確保しておく。

家族や友人、弁護士に依頼して証拠を集めてもらうことも有効。特に時間経過により消失する可能性のある、防犯カメラの映像のようなデータについては早急に保全する。

目撃者の確保

アリバイや無実を証明できる目撃者がいる場合、家族や友人、あるいは弁護士などを通じて連絡を取り、証言の協力を求める。

ただし目撃者の記憶は時間とともに薄れていくため、逮捕からの日数が浅いうちに証言内容を録音・文書化しておくことが望ましい。

早めに弁護士を呼ぶこと

逮捕直後から72時間が経過すると、釈放または裁判官の判断を経て勾留期間へと移行する。勾留期間は基本10日間であるが10日間さらに延長されることもあり、最大で23日もの間身体拘束を受ける可能性がある。

その間自由に生活できないうえ、自ら証拠保全等のために動くことができなくなる。そのため逮捕後すぐに弁護士を呼び、冤罪である旨の主張・立証を進めてもらうことが大事。

 

冤罪で捕まってしまった方がまず取り組むべきは「弁護士を呼ぶ」ということです。そして、逮捕までされてしまった状況から無実であることを認めてもらうには高度な知識や交渉・手続きに対する経験も求められますので、選択ができる状況にあるなら刑事事件に精通した弁護士を呼ぶべきです。

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Lawyer弁護士紹介

河野 哲(こおの さとる)

福井弁護士会(登録番号50544)河野 哲(こおの さとる)

官公庁及び上場企業での勤務経験があり、企業勤務時に使命感を抱き弁護士を志した異色の弁護士です。既成概念にとらわれない柔軟な発想と「弁護士はサービス業」というご依頼者様目線の業務を心掛けています。

経歴

  • 京都大学水産学科、京都大学ロースクール卒。
  • リクルート、京都市役所、日本輸送機(現三菱ロジスネクスト)などでの勤務を経て、2014年弁護士登録。
  • 奈良県の法律事務所、福井県のさいわい法律事務所を経て、二の宮法律事務所設立。

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